
今回社長と一緒に日本保険薬局協会主催の海外研修に同行してきましたのでここに報告します。
イギリスの医療構造はプライマリケア(1次医療)とセカンダリーケア(2次医療)とターシャリケア(3次医療)の3段階に分かれています。
プライマリケアでは、すべての国民が自分のGP(General Practitioner)を選び、予め登録する。GPの診察は事前予約が必要である。風邪などの急性期疾患などはGPに事前予約をしようと連絡しても次日の日の午後に来て下さいと言われるそうなのでOTCをメインに治すそうです。DR不足のようです。抗生剤は風邪などでは使用しない。
セカンダリーケア(病院)は第二次診療機関として高度な医療を提供する場と位置付けられている。原則はGPの紹介のもとで治療を行い、急患以外は予約された患者である。病院の種類としては、一般病院、専門病院、結核病院、伝染病棟、精神病院、精神障害者用施設等がある。
GPも病院もほとんどが公的機関で私営の病院はほとんどないようだ。それくらい国家が守ってくれている。だから利益も国に管理されている。

GPでは処方箋を発行して門前薬局はないので街の薬局で薬をもらい、その薬局の事をコミュニティー薬局と呼び、薬剤師はコミュニティー薬剤師と呼ばれている。門前薬局がないのは調剤専門薬局では経営が出来ないからである。
薬局には薬剤師が常駐し、調剤、OTC双方をカウセリングしている。門前薬局が存在しない理由として、手間の掛かる粉混ぜ、シロップ、軟膏ミックスがない。それが面分業を支えている環境を作っている。
国も新規薬局の開局を認めていない。権利を譲渡で得るのでチェーン店が増えていく。最近はスーパーに薬局併設も増えてきているようです。
分包機や薬袋印字装置や調剤機器の経費や消耗品の経費は一切かからない。アメリカ同様にパッケージの錠数を基準に投薬する。30錠の処方に対し1パッケージ28錠の包装であれば28錠を渡してもかまわない。製薬会社の添付文章をそのまま患者さんに提供するので薬情などを渡す必要もない。処方箋が一般名記載なので患者さんから特定ブランドの指定がない限りジェネリックの利用が促進されている。
日本のように同一成分の商品が増える事もなく在庫管理が楽になる。英国の政策と仕組みからプライマリケアとして位置づけられるコミュニティー薬局では、調剤の簡素化によって設備投資や人件費が削減でき調剤併設型のドラックストアーが多数出店可能となり結果として面分業を支えていると考えられる。
英国の薬の分類として日本と同じで医療用医薬品(要処方箋)と一般大衆薬(OTC)に分けられる。OTCはP;薬剤師の対面販売約1200種類、PO;薬局のみでセルフ購入可能薬10種類、PO指定なし;薬局以外でもセルフ購入可能薬1200種類、PO指定なしは日本で言う医薬部外品のようなものでしょう。
薬剤師は常駐が原則で休憩時間にP販売のお客さんが来れば呼び出される。処方箋の有効期限が6ケ月あるので土、日に処方箋を持ち込む事が多いそうです。薬局スタッフはテクニシャンやアシスタントがおり、調剤を行ったり、レジを打ったり、顧客に薬の飲み方や注意事項を伝えます。どの時点で薬剤師へ照会すべきかを正しく判断できるように訓練されています。テクニシャンも資格制度で登録制になっている。日本でも販売員制度が始まります。テクニシャンのような存在になるでしょう。


スクールオブファーマシー(薬学部)は4年間+1年間の実務研修後、薬剤師資格試験を受験する。一般的な大学が3年なので2年間長く勉強している。卒業生の60%がコミュニティー薬剤師、37%が病院薬剤師に就職するようです。スクールオブファーマシーは22校ありすべで国立である。大手コミュニティー薬局の優秀な薬剤師のリクルートは社員になってからのディプロマコース(修士課程)履修を支援したり、大学に講師として派遣し優秀な薬剤師をスカウト出来る絶好のチャンスを得ている。逆に北海道薬科大では大学の講師を現場である調剤薬局に派遣して現場で得た情報を学生に講義していると聞いています。
英国薬剤師が薬剤師として職能を発揮するためには実務にあった国家としての薬物療法ガイドラインが必要になります。ガイドラインは厚労省と英国薬剤師会が作成し、基本的なガイドラインに上乗せする形で循環器、糖尿病、HIV、老人等をテーマにガイドラインが出されています。薬剤師の役割はガイドラインに掲載されている投与量、適応などをチェックする事です。
病院薬剤師のグレードは7区分されており、グレードが上級になるほど専門職が増し、待遇も上がるシステムで長年働いても、努力しなければいつまでも新人薬剤師と同じ給料である。グレードアップするためには学位が必要。
医師不足や患者の利便性の為、英国ではリピート処方箋(アメリカではリフィル処方箋)が発行されている。リピート対象外として麻薬、向精神薬、抗不安薬があげられる。様式としては親処方せんと子処方せん(6/12)とかナンバリングされていて有効期間は6〜12ヵ月、1回投与期間は1〜2ヵ月が多いようです。
テクニシャンが調剤業務を行い、薬剤師数よりテクニシャン数の方が多いそうです。病院の中でも病棟の薬剤の供給を行っている。入院時には服用薬を持参することを推奨しています。メリットとして正確な薬歴が得られ、薬剤費と調剤する人件費が削減出来る。これもテクニシャンの仕事のようです。日本でも持参薬を再利用してペルマックスを毎日飲ませ事故になった事もあります。テクニシャンも国家資格でグレードがあり、ジュニア薬剤師より高収入なテクニシャンもいるようです。
英国の薬剤師の存在意義は?

緊急避妊薬【モーニング・アフター・ピル】はP商品扱いで販売出来る。モーニング・アフター・ピルとは事後避妊薬であり、性行為の72時間以内に服用すれば避妊が可能な薬です。取り扱いに関しては薬局スタッフのトレーニングと16歳未満には販売できないなどのガイドラインを守らなければ行けない。GPに行くよりも格段に早く手に入れる事が可能である。サービス利用者の98%満足しているそうです。
英国には麻薬中毒患者が日本の10倍もいるそうです。英国の治療は社会からの締め出し(入院・隔離)ではなく「救済」と言う考え方で、コミュニティー薬局、コミュニティー薬剤師が請け負って行っています。患者さんに処方された禁断症状緩和剤を毎日1日分分割調剤して、患者さんが目の前で服用したか確認してカウンセリングアドバイスを行います。薬剤師の麻薬中毒者に対する接客時の倫理規定やガイドラインに準じて行っているそうです。またコミュニティー薬局では麻薬中毒者に無料で注射針やシリンジの交換を行っています。これはHIV感染やウィルス感染の蔓延を草の根的に防ぐ試みのようです。
調剤薬局薬剤師が提供するサービスの種類のまとめ
コミュニティー薬局の処方薬1種類あたりの調剤報酬は年々削減されている。(処方薬1種類につき1500円程度)従って新たなサービスによって収入を改善すると同時に、患者へのサービスを拡充する方向を考えるようになった。この背景には医師不足の問題がある。薬剤師は医師の肩代わりし、その仕事量を軽減する役割を担うことによって、サービスの拡大を進めている。ここで得る収入も国の機関(PCT)と交渉して予算組みされている。
- リピート調剤・・・受診回数を大幅に減少
- Medicines Use Review (MUR)
患者と薬剤師が面談し、患者の医薬品使用についての問題点を探るサービスで、より正確でかつ効果的な薬剤の使用につながる。・・・医療費削減
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Minor Ailment Scheme・・・OTCに保険を適用する制度・・GP受診削減
- Patient Group Direction・・・GP受診削減 事前に私用対象になる症状や状況が厳格に決められており、また薬も決められている。現在では緊急避妊薬、インフルエンザ薬、花粉症薬、禁煙補助薬が主である。
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クラミジア検査
大手薬局チェーンのブーツで提供をしている。16−24歳であれば患者負担無料で
提供。検査結果が陽性の場合は、薬局薬剤師が処方せんなしでエリスロマイシンを投薬できる。
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禁煙指導
薬剤師による禁煙指導は6回のプログラムとされている。初回に面接し、患者にあった禁煙補助剤を選定する。その後定期的に禁煙が実行されているかはカーボモノライザー(CO1計測器)で毎回検査してコントロールしていく。
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サプリメンタリー・プラスクライピング(補助的処方)
特定の医師とコンビを組み、医師の診断・処方に基にモニタリングと投与量の変更ができる。定期的な糖尿病検査から医師の判断なしで投与量の調整が可能である。この資格も養成トレーニングコースを受講し認定を受ける必要がある。
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その他
最近はメタボに関するサービス申請も行っているようです。
いかなるサービスを提供する為にはトレーニングを受けたり、静かに対面説明ができる相談室があるなどの薬局設備も認定されなければならない 。
どの国に行っても、みんな“一生勉強”しています。


